魔術師と下僕

 そこでジオは、「じゃあこうしよう」と、震える声で提案した。


「お前がイリヤなら、二回跳ねて見せて」


 カエルは二回跳ねる。
 やはりこのカエルなのか、それともただの偶然か。


「うーん、じゃあ、お前がイリヤじゃないなら、二回跳ねて」


 カエルはまた二回跳ねた。


「ああもう、どっちなのさ!」


 自分がややこしいひっかけ問題のようなことを言っておいて、ジオは唸る。カエルにキレる成人男性。はたから見れば大層奇異な光景だろうが仕方がない。

 じゃあ三回跳ねて! 次は五回! 次は四回! とジオは何度か繰り返し、イリヤと思われるカエルは全てに答えて見せた。

 そしてついに。

「わかった。信じるよ……君がイリヤなんだね」

厳重に手袋を嵌め、そのカエルを両手で掬い上げるようにして持ち上げた。

 頼む、正解であってくれ。

 そう願いながらジオは、ゆっくりとカエルに顔を近づけたーー。

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