魔術師と下僕

「あの、ブルーノさん。さっきはどうもありがとうございました」


 授業の後、イリヤは直接お礼を言った。しかし、


「大したことじゃない。それより、あんなことも知らないでこの学校に来るなんてすごいな」


 と、ブルーノは冷たい。


「すごいなんてそんな」
「……褒めてねえよ」


 ブルーノは机に突っ伏してしまった。イリヤはもう少し話したかったが、寝ているのか拒絶されているのか。


「ブルーノ先輩冷たいっすねぇ。こーんな可愛い子が話しかけてるのに」


 イリヤの席に寄ってきていたナターリアが、ブルーノにちょっかいをかける。


「可愛い子なんてどこにいんだよ」


 ブルーノは机に突っ伏したまま嫌味を言った。


「あらま失礼なことで。ねえ、イリヤさん」


 そんなことよりも。


「あの、『先輩』って?」
「あー、なんか留年らしいですよ。だから、年は一個上です」
「おい、勝手に喋んなよ」


 ブルーノがナターリアへぶつぶつ文句を言っている間に、休み時間は終わってしまった。

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