魔術師と下僕

 なぜこのメンバーなのかというと、ナターリア曰く、


「実習班で交流会しようと思いまして」


 ということらしい。

 男子のヴィットリオが女子の部屋に来ることは本来禁止されているが、誰にも見つからないようこっそり来てもらったのだった。

 実習班は、四日間のうち『魔術実習』の科目を共同で行う班のことで、基準は不明だがクラス内であらかじめ割り振りがなされていた。

 自分のことに手いっぱいで、実習班のメンバーすら把握していなかったイリヤは、ナターリアの行動力にただただ驚かされるばかりである。


「でも、ブルーノ先輩は誘っても来てくれなかったんすよね〜」

 ナターリアは場を仕切り直すべくUNOのカードをまとめながら残念そうに言う。ブルーノ、と聞いてイリヤは即座に反応した。


「ブルーノ先輩、実習班一緒なんですか!?」
「おっ、やけに食いつくじゃないですか」


 このこの、とナターリアはイリヤを肘で小突く。


「イリヤちゃん、ブルーノ先輩が気になるの?」


 さては恋バナか、とヒルデが乗ってきた。「ひとめぼれってやつ?」


「ち、違いますよ」


 イリヤはあわあわと否定する。

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