魔術師と下僕
「でもあの人なんかおっかねえよな。常に話しかけんなオーラ出てるっていうかさ」
ヴィットリオは次の手に悩みながらそんなことを言う。
「確かに、ちょっととっつきにくいよね。年上だし……」
「はいヒルデさん、UNOって言ってませんよ!」
勝ち誇ったようにナターリアが指摘し、ヒルデは「しまった……」と肩を落とした。
「しかし、UNOよりもイリヤさんとブルーノ先輩の話が気になってしかたないんですよねぇ……」
ナターリアはじとっとした目でイリヤを見る。
「実際、なんでそんなにブルーノ先輩が気になるんですか?」
そう問われて、一応は考えてみたイリヤだが、適切な言葉が見つからない。
「わかりません。本当になんとなくなので……」
「でも」とヒルデ。「ブルーノ先輩のお家って、魔術やる人たちの間ではかなり有名なんだって。それに先輩、結構かっこいいよね」
そう言われて、イリヤとナターリアはブルーノの顔を思い浮かべる。まともに目を合わせてくれないが、たしかにかっこいいかも知れない。ヴィットリオは「結局顔か」と悔しげにつぶやいた。