魔術師と下僕

「おい、がきんちょ」


 呼び止められて、五人が一斉に振り返る。
 知らない男の姿に、彼らは戸惑った。が、持っているビニール袋が草でいっぱいになっているのを見て、用務員さんなのかな、と解釈する。


「全員がきんちょだけど、お前だよ、お前。ジオルタと一緒にいた子だろ」
「ジオの知り合いの方……ですか?」


 イリヤが訊ねると、男はうんうんと頷いた。


「オレはレンブラント。ジオルタの兄弟子だ」


 兄、の部分に少しだけ力を込めて、レンブラントは言った。ジオの知り合いと聞いて、イリヤの表情がぱっと華やぐ。


「はじめまして、ジオの……えっと」レンブラントに対して自分たちの関係をどう説明したものか、イリヤは一瞬迷った。「ジオと一緒に暮らしている、イリヤです」

「ふーん。あいつ、元気か?」
「はい、元気ですよ」
「あいつにいじめられたりしてないか?」
「いじめ……?」


 はてなんのことやら、という調子のイリヤに、レンブラントはまあいいけど、と言う。

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