わがままシュガー


「あーし馬鹿だったからさぁ、入れる大学なくてぇ」

「まさかコネ……いやでもそれと女装と何が関係あるっていうの」

「こねこねー、こねこねーっ、ふふっ」



手をすりすりとすり合わせている目の前の野郎に、私は『こんな姪……いや、甥がいたら苦労しそうだ』なんて思いながらも、一応佐藤の言葉に耳を傾けたまま、大人しく話を聞いておく。



「散々ねぇ、悪ぅーいこといっぱいしてきちゃってぇ。大学で淑女らしく大人しくしてるならいいよーって条件」

「しゅく……え?」

「淑女、あーし」

「嘘だろ」



佐藤はあれだけ散々好きなだけ自由人しておいて、これで淑女のつもりでいたらしい。

これでいいのか、佐藤の叔父さん。

私はこんな淑女は嫌だと思う。



「淑女の意味知ってる?」

「ちょーいけてるレディー」

「嘘だろ」



認識を改めた方がいい、けれどこの佐藤相手に説明してあげるのも面倒くさい。



「緑みたいな子が一番淑女に近い」

「友達にガチ淑女いるなら全然おーけーじゃね?」

「全然おーけーじゃないわ」



引き続き私はいつも使わない脳の部分を使っているようで、頭が痛い。

いや、もはや寝不足のせいで痛いだけかもしれないけれど。
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