わがままシュガー
「ごめーん、ちょっとコンビニも寄ってたぁ」
「佐藤なんかテイクアウトして帰る?」
「えー?うーん、今日はいーや」
そう言ってするりとその細い手が伸びた先にあるのは、私の飲んでいた期間限定のシェイク。
「あ……」
我が物顔でチューっと飲み込むと「うっま、今度買お」なんて呟いている。
待って、無言で人のシェイク飲むな?
「ねぇ、それ私の」
「和香なら期間限定の飲んでると思ってたんだよね~!ごち」
手元に戻って来たシェイクを眺めて、これまでには考えもしなかったことが脳裏に浮かぶ。
『間接キス』
今更だ、私たちはこれまでも散々食べ物も飲み物も共有してきた間柄で。
昨日だってお酒を飲みまわしていたし。
こんなことを考えるのなんて今更過ぎるくらいなんだけれど。
「和香?」
「え、ううん、もう帰る?」
「そうね。マリモがそのポテト食べ終わったら出よう」
鞠がぎょっとした目で緑を見て、私を見て、それからその視線が佐藤に向けられる。
「マリリン、手伝ってあげるー!」
鞠のポテトにまで手を付け始める佐藤に、鞠も急いで残りのポテトを頬張っていて、緑は鞠に「飲みな、詰まるよ」と飲み物を渡していた。