わがままシュガー


けれどそのことは他の二人は知らないから、私だけが騒ぎ立てるわけにもいかないし、眠いし、面倒くさいし、眠いし……。



「とりあえずー、今は喉詰まったら危ないから一旦起きときなー?ほい、あーん」



そうして瞼がほとんど落ちている私の口の中に放り込まれたのは。



「!!???!?!?」



口の中がジュワァッと熱くなり、唾液の分泌が強制的に促進されるくらいに塩分濃度の濃い、梅干しだった。



「はい起きた」



満足気に微笑むその顔を涙目で睨んでから、再び八宝菜とにらめっこする。

酸っぱいのを通り越して、もはやしょっぱすぎて口の中が痛い。

早く食べて、休める所に行こう。



「しょっぱすぎて味がわからなくなったんだけど」

「ごめんごめん、でもちゃんと起きられたっしょー?」

「一生恨む」

「ありゃりゃ」



昨日のことと合わせて、絶対一生恨んでやる。

面倒くささで相殺なんてさせるもんか。

相殺されてしまいそうなのが私の怖いところではあるけれど。



「怠惰担当の和香がここまで言うなんて、珍しい。佐藤なんかしたの?」



勘のいい緑が、そうギャル――改め、佐藤に尋ねると、目をまんまるにして緑に目を向けていた。

まて、なんだその「え、なんのこと?」みたいな顔は。
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