わがままシュガー


「佐藤って元の口調もそうなの?」



いつからギャルをやっているのか、私は知らない。

少なくとも大学一年の時には既にギャルだった。

今より少しだけおとなしめだった気もしないでもないけれど。



「口調?」

「……言いたくなければ、言わなくていいんだけど」

「聞きたい?」



聞きたい……?

……再現してくれるということだろうか。



「気になっただけ、だけど」

「この姿で……和香が抵抗なければ、いーよ?」

「いーの?」



スマホをスクロールさせていじっていた佐藤が、その画面を私に向けて来る。

画面の中には、三人の学ランを着ている男子が机や床に座って煙草を……いや、待て、煙草?



その中の一人、舌を出してこちらにべーっとしている男子。

すぐにわかった。

その手元にも、煙草。



「和香」



その昔の佐藤の顔を認識した直後、これまでよりもずっと低いその声が、耳元で響く。

急なことで、グッと胸元が締め付けられるような痛みが、じわじわと頭や体を支配した。



「俺、どれだかわかる?」



低く響く声が、耳元で鼓膜を震わせた。

スマホの画面から、顔を上げられない。

顔が熱い、なんだ、なんでだ、相手は佐藤なのに。

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