わがままシュガー
眠ってしまいそうだから湯船は張ることなく、シャワーだけ済ませてから着替えて出た。
すると出迎えた佐藤が勝手にベッドに座っていた。
まぁ確かに床は痛いだろうけれど。
そんなことより、さっきまであった髪の毛がバッサリ無くなって、スウェット姿になっていたことの方に全ての注意が奪われた。
あの髪、ウィッグだったのか。
ウィッグとっても赤いのかお前。
「上がった。褒めて佐藤」
「えー、ノーリアクション?まぁいいやドライヤー持ってきてよ、ここ座って」
「違和感が凄まじいからもう男モードでいいよ」
佐藤が自分の足の間にある床にクッションを移動させていたようで、どうやらそこへ座ったら髪を乾かしてくれるらしい。
「着替えあったの?」
「持ってきたの」
「ねぇ、一応聞くけど、泊ってく気じゃないよね?」
「泊ってってほしい?」
「いや、寝る時には帰ってほしい」
「今日は帰る気でいるけど、ただちょっと頭が鬱陶しいままなのが嫌だったからついでに着替えただけ」
なぜ着替えをわざわざ持ってきたのかは謎なんだけど。
まぁいい、佐藤が乾かしてくれるというなら私は楽が出来るから。
「のどかお前、ちゃんと化粧水と乳液付けた?」