わがままシュガー
「別になぁんにも?え、和香、あーしなんかしたぁ?」
「……っ」
こんの、諸悪の根源ギャルが。
こんな人の多い所で、怠惰で面倒くさがりな私が説明しないのをわかっててそういう――もういいや、疲れた。
「はやく寝たい」
「そうやってまた面倒くさがるんだから」
早くも食べ終えていた緑が、片肘をついて溜め息を吐く。
「まぁ喧嘩じゃないならいいわ」
むぐむぐ、頑張って味の感じにくくなった八宝菜を口に詰め込んでいく中、私は昨日起きたことをまた無意識に思い出していた。
『あーし、男なんだよねぇ』
『は……?』
大学三年、夏の始まり。
それは飲み会兼カラオケの後、ヘロヘロにそこそこに酔っていた私の頭を覚ますには、強烈すぎる告白だった。