わがままシュガー


それに……今日は肌が、いつもと違ってぷにぷにしている、から。

保湿ってすごいな……。



頬を触りながら思い出すのは、昨夜の佐藤の見慣れない男の顔だった。





十一時に駅集合となり、私はうっすらと化粧を施してから、迎えに来た佐藤と一緒に駅へと向かう。

鞠と緑とも合流してから電車で動物園へと向かった。



「なんで急に動物園?」



恐らくメンバー全員が思っているであろう疑問を、代表するかのように緑が鞠に尋ねる。



「もふもふと触れ合いたかったから……?」

「猫カフェでもよくない?」

「だって昨日サバンナ特集やってんの見てたらなんだかマリも見たくなってきちゃって!!」

「でた、マリもマリも」



鞠はよく、何か見たり聞いたりしたことに刺激を受けて、自分も自分もと求める。

私たちを巻き込みながら。



だから緑は鞠のことを『マリモ』なんて呼んでいる。

佐藤が呼ぶ『マリリン』はよくわからないけど、たぶん佐藤のことだからノリと勢いだろう。

鞠だって佐藤のこと『さとちん』なんて呼んで、仲のよろしいことで……別に気にしてないけど。



「あれ、ねぇ和香」



ふいに何かに気付いたように緑に呼ばれると、するりと細い指が頬を撫でる。
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