わがままシュガー
「アンタ今日肌つやよくない?」
「緑、急にイケメンみたいなことしないで。ときめく」
「あらごめん。お手入れしたの?」
「……まぁ、うん」
したというか、されたのだけど。
昨日の話を……他の人にしていいのか、少し悩んでしまった。
本人はすぐそこに居るんだけど、でも、なんだかあの空間での話は、しにくくて。
「ふぅん」
なぜか、緑は楽しそうな笑みを私に向けるから、なんだか心の中を覗かれているような気持になって、俯いてしまった。
「ちょっとみどりん、和香のこと口説かないでよねー」
佐藤の、昨日より高い声が、鼓膜を震わせる。
変なタイミングで思い出してしまったじゃないか、ばか。
「ただ話してるだけじゃない、ねぇ和香?それより佐藤、昨日のことだけど――」
そうやってたくさん話しているうちにいつの間にかチケット売り場に辿り着いていて、四人で入園して、まず現れる遊園地にみんなで目を奪われて。
「ねぇねぇ後で観覧車乗ろう!!!」
そう元気に訴える鞠は、想定内。
「観覧車って四人で乗れるよね?」
「マリモ、乗るなら遊園地ゾーンでどれ乗りたいか先に決めて。先動物園回っちゃうと後で時間無くなるから」