わがままシュガー
「マリモ心配してたからねぇ。頭から八宝菜に突っ込みそうになったり、医務室に運ばれる和香見てて」
「う……ちょっと寝不足だっただけなのに」
「睡眠大好きな和香が寝不足だっていう所からして、ちょっと変」
ぎくりとして、奥歯を噛みしめてしまう。
話さない限り、佐藤からあんな暴露話されたことなんて、緑にはわかるはずもないのに。
なんだか緑には見透かされてしまいそうな怖さがある。
「まぁ佐藤が付いててくれてたみたいだから、いいんだけどね。一人でぶっ倒れることがないようにね?家近いんだから、風邪でもなんでも、困ったらとりあえず佐藤に頼りな」
「……うん、気を付ける」
その佐藤が睡眠不足の原因だったんだけど……奴が男だと最初に聞いた時の動揺もなくなってきたから、これからはきっと頭を悩ませることもなくなるだろうと思う。
佐藤と鞠はシマウマを見ながら看板の説明を読んでいて。
本当に仲がいいなと、よくわからない不安が、胸にモヤをかけていた。
『ペンギンだー!!』『ライオンだー!!』『白鳥さんだー!!!』なんて騒いでいた鞠も、さすがに夕方近くになると勢いが収まって来ていた。