わがままシュガー


『鍵、ポストに入れておいたからー☆』



……あんなことをしておいて、いつも通りの口調で。

でもあんな夢を見ていたせいか、そのメッセージを読んで安心する自分がいた。

寝る前の記憶が蘇る。



たしか、サワーを飲ませられながら、キス、を、されていて。

熱くて、ほわほわとして、眠くなって……それから佐藤がベッドの上に乗せてくれたのか。



お酒は眠気を誘うこともあるけれど、それで眠り込んでも深くは眠れない。

だからあんな夢も見たし、こんな夜中に目覚めてしまったんだ。



「仮にも男の前で、私は無防備に寝すぎていないだろうか?」



紳士とか言っていた割に手を出す……かといって寝ている間に手を出された形跡はない。



『おやすみ、和香』



眠りに入る私に、優しくそう言葉を囁く、佐藤。

無理には押し通してこない佐藤。



私が友達でいたいから、鞠と緑の前では今までと変わらずに友達として接してくれる佐藤。

さりげなく気遣いやの佐藤が……私にだけ『男』だと告白してきた時、どれだけの勇気を振り絞ってくれたんだろう。



私だったら怖くて言えないくらいのことなのに、私を信じて、私になら話してもいいと……告白して来てくれたんだろうか。
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