わがままシュガー


レポートは、終わったのだろうか。



「和香、なんで叔父さんと……」

「佐藤、なんで嘘ついたの」

「嘘……?」



その嘘はひとつだけ?

それとも今までにもいくつか嘘が混じっていたりしたの?

私への気持ちは……嘘?本当?



「『淑女』なんて、求められてなかったじゃん」



佐藤の目が、微かに見開かれるのを、私は見逃さなかった。



「叔父さん……どこまで話したの」



佐藤の視線が私から理事長へと移る。

その瞳には焦りが滲んでいて、それを読み取って私は立ち上がり、佐藤の腕を掴む。



「佐藤、今私が聞いてる。なんでそんな嘘ついたの。どこまで本当で、どこが嘘、なの」

「……和香」

「私のこと……」



好きなのも、嘘?

違う、好きなんて言葉ですら言われていない。

ただ自分を好きになれと、そう求められて、キスをされただけで。



私はまだ、その言葉を貰ってすらいなかったから……私が勘違いするように、仕向けただけ?

淑女になれなんて、そんな嘘自体は正直どうでもいいことだ。

そもそも女の格好になったくらいでこの男は大人しくなんてならないだろう。
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