わがままシュガー
その男の子は酷く緊張している様子で……何度かこういう人を見たことのあった私は、既に罪悪感を抱えながら、彼と建物の影へと移動した。
私なんて……一緒にいても面白くないだろうに。
なんの取り柄も無い、学生の一人なのに。
『あの、つ、付き合ってる人とか……』
『お断りします』
『え!?』
『お断りします』
『せめて告白はさせてください!!』
『お断りします』
『そんな……』
『私なんかより……いい人なんてたくさんいますから』
それだけ告げて建物の影から出ると、死角から例のギャルが壁にもたれてこちらを見ていたのだ。
『マジウケる〜。話聞く間もなくバッサリいったね?』
『……聞いてたんですか』
『アンタそんな優しそうな顔して結構毒舌だったりする?』
『別に。あぁいうのはちゃんと断っておかないと、変に懐かれたりするので』
『前にストーカーにでもあった?なんか断るのも慣れてんねぇ。彼氏いるの?』
なんでこの子が私なんかに話しかけているのか、状況がよく理解出来ていなかった。
からかわれてる?にしてはただ疑問を投げ掛けられているだけのように感じる。