それが私たちの。


「はあ……」

「のんちゃん、ため息つくと幸せ逃げるよ?」

「わかってるけどさぁ…」




松山のぞみ、17歳。
あたしは今、片想いをしています。


片想いの相手──藤沢シュンを好きになってからもう六年。

中学二年生の夏、あたしは一度だけ、シュンと恋人同士になれた。
嬉しくて嬉しくて仕方なかったけど、シュンが“初めての彼氏”だったあたしは、恥ずかしくて、何をすればいいかわからなくて、シュンを避けちゃって。

それで、自然消滅。

あたしたちの恋人同士期間は、3ヶ月で終わった。



その後、他の男の子とも付き合ってみたけどやっぱりダメで。あたしは、シュンじゃなきゃダメなんだって改めてわかっただけだった。




「昨日は?メールしたの?」

「うん…」

「内容は?」

「自分で見てください…」



あたしは、早く早く!と催促するリナに携帯を渡した。
リナは黙々とメールの内容を読み上げる。



「何?これ」

「んー」

「明らかに、シュン君はのんちゃんに気があるよね?」

「それがね、そうでもないんですよ…」

「だって、“今から外出てこれる?会おっか?”って」

「ぬか喜びでしたよ、それ」

「会わなかったの?」

「次のメール見て」



リナは親指を動かして、ポチポチと携帯のボタンを押した。


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