それが私たちの。
「あー…」
少し困ったように言うシュン。答えを聞きたいけど、怖い。
「俺みたいなのの彼女になってくれる奴なんて、そうそういねーし」
「…うそつき」
「何で?」
「あたし、好きだもん。シュンのこと」
心臓が、止まるかと思った。
シュンは何て言うんだろう。怖い。
「ねぇ、シュン」
「…もったいないよ、俺には」
「そんなわけ…」
「ごめんな」
「…わからないよ、シュンのこと…。好きじゃないなら優しくしないでよ!期待させないでよっ…!」
「ごめん…」
女の子が、泣き出した。その子の姿が今の自分と被ってしまう。
“好きじゃないなら優しくしないで”
“期待させないで”
ほんとだよ。
やっぱりシュンはみんなに優しいんだ。
最初からわかってたことなのに、何だか悲しくなった。溢れそうになる涙をこらえて、あたしは逃げるようにトイレを出る。
きっと授業には出れないだろう。…リナが心配するかもしれない。
とりあえずどこかで一時間、時間を潰そうと思った。ゆっくり考える時間がほしくて、あたしは屋上に続く階段に向かった。