獅子組と私
「せっかくだから、椎那ちゃんのレストランでコーヒーでも飲んで行こうってことになったんだよ!」
滉二が微笑んで言った。

「そ、そうなんだ…」
小柄な椎那。
対して、飛鳥達四人は180以上身長がある。
なので椎那は、圧迫感のようなものがあるのだ。

でも………
「フフ…」
「椎那?どうしたの?」
電車に乗っている五人。
椎那を奥にして四人が守るように取り囲んでいる。

突然、椎那が笑いだした。

「なんかね…!」
「うん」
「こうしてると、みんなが大きな壁みたいで安心するなぁって思って!
毎日の朝の通勤の電車って、私にとっては地獄なの。必ずといっていいくらい、足踏まれるし潰されるし……でも今日はとっても、安心する……!」
フフ…と笑いながら言う椎那。

「「「「……/////」」」」
そんな椎那を見て、四人は顔を赤くする。

「え?どうしたの?暑い?
確かに人がいっぱいだから、暑いね……」
「椎那」
「ん?飛鳥くん、何?」
「僕を嫉妬させて、楽しい?」
「え?え?し、嫉妬!?」
「うん、そうだよ。僕、今初めてミチ達に嫉妬してる」
「あ、あの…」
「ダメだよ、コイツ等に“安心する”なんて言っちゃ。安心する相手は僕だけで十分でしょ?」
「う、うん…そうだね…」

「椎那ちゃんって、鈍感って言われない?」
滉二の言葉に、あとの三人も頷く。

「え?あ、言われたことあるよ」
「だよな…!わかってないよな…」
「大変だな、飛鳥」
「え?え?え?」
道彦と一朗も、苦笑いをしたのだった。
終始椎那は、頭の中が“?”だった。

「うー、人…多いね…」
「椎那、大丈夫?」
「うん、飛鳥くんがいてくれるから!安心だよ!」
「フフ…うん!手、放さないでね!」
椎那に頼りにされて、とても嬉しそうに笑う飛鳥。

「ひゃっ…!痛っ!!」
「椎那!?」
「あ、大丈夫だよ!」
「足踏まれたとか?」
「うん、でも大丈夫。人が多いから、しょうがないよ」「誰!!?椎那ちゃんの足踏んだ奴!
許せないね!」
滉二が、周りを見渡しながら言った。

「ねぇ!!そこ退いて!!!」
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