獅子組と私

｢いいんだよ？椎那｣
｢え？｣
｢僕は、大切な椎那を守る騎士になりたいの！｣
｢飛鳥くん…｣
｢だから、強くなくていいんだよ！
ミチ達もいるよ！みんな、椎那を守ってくれるよ！｣

｢あぁ！椎那ちゃんは、俺達のクイーンだからね！｣
｢守るよ！キングの女ってだけじゃなく、椎那ちゃんは仲間だから！｣
｢俺も！椎那ちゃんを守りたい！もっと、頼ってよ！｣
｢みんなも。ありがとう！｣

漸く、椎那に笑顔が戻ったのだった。

｢な…んで…？｣
去っていく飛鳥達に、痛みに顔を歪めながら声をかけた男。
｢は？｣
｢そんな細くて、弱そうな女のどこがいいんだよ…！？
お前…獅子組のキングだろ？
確かに可愛いとは思うが、キングがこんな抱き心地の悪そうな女……！｣

｢君、本気で人を好きになったことないんだね…可哀想……｣

｢あ？｣

｢確かに椎那って細すぎで“そうゆう意味では”魅力はないかもだけど……そんなの関係ないんだよ？｣
｢は？｣
｢まぁ……僕も椎那に出逢って初めて気づいたんだけど、本気で人を好きになると、その子の全てが愛おしくなるんだよ！身体がどうのとか、関係ないんだ。
ただ…好きで、好きで、大好きすぎて、僕だけのモノにしたくなるんだ。
まぁ、君にもわかる時がくるんじゃない？｣

そして五人は、ゲームセンターを後にした。

｢あの…｣
｢ん？何？椎那｣
｢私は…｣
｢ん？｣
｢みんなの仲間でいていいのかな？こんなに弱い私が……｣

｢もちろん！放さないよ！僕の方が、椎那を…！
椎那が放れたいって言っても、絶対放さない！
覚悟しててね！｣

｢俺のことも、これからも宜しくね！｣
｢俺も～！｣
｢これから、いっぱい思い出作ろうよ！｣
道彦や滉二、一朗も微笑んで言った。

その四人の笑顔が、あまりにも眩しくて椎那はまた涙が溢れていた。