獅子組と私
「至急、調べてよ」
飛鳥はデスク前のソファに腰掛け、藤生に事情を説明する。

「そう……おい!」
藤生は頷き、部下に声をかけた。
「はっ!すぐに調べます」
部下が、部屋を出ていった。

「飛鳥」
「何?」
「クイーンができたんだって?」
「うん」
「今度会わせてよ」
「嫌だよ」

「大丈夫。取ったりしないよ?
伊瀬 椎那ちゃん。
30歳なのに童顔で、小柄。
生まれた時から施設で育ち、それはそれは寂しい人生をおくってきた悲しき女性。
…………だっけ?」

飛鳥「藤生、喧嘩を売ってるの?」
道彦「いくら藤生だからって、許されねぇよ!」
滉二「椎那ちゃんには、関わらないでよ!」
一朗「それに、今は藤生の部下の話だろ!?」
四人の雰囲気が、黒く染まっていく。

「本気なの?」

「は?」
「椎那ちゃんのこと」
「本気だよ」
「獅子組のクイーンだよ?それが、どんな意味を持つかわかってるの?キング」
「わかってるよ」

「僕はね、心配してるの。
獅子組のこと。
“また”仲間を失うようなことがあったら、壊れてしまうんじゃないかって!」

「そんなこと、僕がさせないよ!何の為に、僕が背中に刺青を彫ったと思ってるの!」

「飛鳥の為に、言うよ!
椎那ちゃんとは、別れな!
きっと、椎那ちゃんを失ったら━━━━━━」

ガン━━━━!!!と音がして、一瞬で藤生はデスクに頭を押さえつけられた。

「若!!?」
「クソガキ!若を離せ!!!」
藤生の部下が、飛鳥に飛びかかる。

その部下達に飛鳥は、鋭く睨みつけた。
飛鳥の恐ろしい雰囲気と、目付きに部下達が怯む。
道彦達は、黒い雰囲気を醸し出して見据えている。

「僕から、椎那を放さないで!藤生。
これは“警告”だよ。
もう僕にとって椎那は、なくてはならない身体の一部みたいなもんなの。
椎那のこと、好きすぎて狂ってるんだよ、僕」

「フッ…!!
…………ったく、相変わらず飛鳥は可愛いなぁ!」
「何!?急に!
“可愛い”は禁句っつたでしょ!?」
そこで藤生の頭を解放する、飛鳥。

「あー、ごめんね!
さすが、哲士が認めたキングだ!」
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