獅子組と私
「キングを信じなさいよ!!
椎那は、クイーンでしょ!?」
「そうよ!
獅子組の絆は凄いんだから!!」

「キング、落ちついて聞いてね。
カフェの━━━━━━」
清美が飛鳥達を集め、静かに村部のことを伝えた。


「……何…それ…」
「椎那ちゃんが……」
「あの、伊勢男だよね……そいつ」
「最低な奴だな……!」
ここの空間だけ、真っ黒な重力がかかったように重く圧迫されていく。

飛鳥がゆっくり椎那の元へ。
そして力強く抱き締めた。
「もう…大丈夫だよ!僕がすぐ何とかするよ!
怖かったね……!もう、大丈夫…大丈夫だよ……!」

久しぶりに聞く飛鳥の“大丈夫”の言葉。
椎那は、その言葉にスッと緊張が解けた。
そして、あっという間に涙か溢れ声をあげて泣いた。


「飛鳥」
「うん…」
「懲らしめないとな……」
道彦が飛鳥に声をかける。

「そうだね、限界越えてる…楽に死なせない……!」
「あの、オヤジ……地獄に落とす…!」
「飛鳥……四人で行こ…!こんな男一番嫌いなんだよ!
しかも椎那ちゃんを傷つけるなんて……」
道彦、滉二、一朗も怒りで雰囲気が黒く染まっていく。

「もう…終わりだよ……全て………」
飛鳥の冷たい声が、リビングに響き渡った。


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どこかの廃工場。
「なんだ?こんなとこに連れてきて!」
村部が、飛鳥達によって連れてこられた。

「え?なんだって、わかるでしょ?」
「あがっ━━━━━!!?
オエッ━━━!!!!」
飛鳥が村部の腹をおもいっきり蹴った。

その弾みで、血を吐く村部。
そして、地面にへたりこんだ。

「どうされたい?」
「え…?」
「君の望み通りに、痛め付けてあげるよ?」
飛鳥が村部の髪の毛を乱暴に掴み、顔を上げさせ言った。

「助けて…下さ…い」

「「「「はぁぁ!!?」」」」
思わず、飛鳥達は声をハモらせ驚きの声を上げた。

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