獅子組と私
「んんっ…あぁ……はぁ…んぁ…」
「可愛い…椎那……椎那の全部が愛しい…」
そう言って、飛鳥も腰に巻いていたタオルを取った。

「椎那…手を繋ごう?」
「うん…」
伸ばしてきた椎那の手を指を絡めて握る。
そして反対側の手で、椎那の頭を撫でた。

「怖くないからね…!大丈夫だから、力を抜いて僕を受け入れて……」

「━━━━━ったぃ…!!!!」
ググッと異物が入ってくる感覚がして、思わず全身に力が入り眉間にシワを寄せた。

「椎那、力抜いて…」
「んんっ…」
繋がったまま、飛鳥が優しく椎那の頬や眉間にキスをした。
「まだ動かないから……ゆっくり深呼吸して?」
「ん…ふぅー」
「大丈夫?」
「うん…」
飛鳥は、ゆっくり椎那の頭を撫でる。

「椎那…大丈夫だからね……」
「不思議…」
「ん?」
「飛鳥くんに“大丈夫”って言われると、とっても安心するの」
「そう?」
「うん…」
「じゃあ…何度でも言うね!
大丈夫、大丈夫だよ…」
「うん……
…………飛鳥くん…もう一回、キス…しよ…?」
「いいよ…!何度でもしてあげるよ……」
口唇、額、頬……何度も、チュッ、チュッと飛鳥の口唇が落ちてくる。

「フフ…くすぐったい…!!」
「椎那…可愛い!」
「飛鳥くんは…カッコいい!カッコ良くて、なんか…甘い感じ…!」
「ありがと!
だいぶ、ほぐれたみたい……!
…………ねぇ、椎那…動いていい?
こうしてると、僕の方が我慢できない………」

「………うん…大丈夫だよ」
「じゃあ…動くよ?」
「うん………んんっ…!!!
んぁぁ……あ…ん…ぁ…」
「椎那…椎那…凄く、気持ちいい……
椎那、大好き……大好きだよ……」

「あ…すか…く……あぁ…好き…私も……」
「椎那━━━!!」
椎那の不意の“好き”と言う言葉が、飛鳥の理性を荒らす。

大富豪の息子・飛鳥。
他人に感情を左右されることなんて皆無だった。
欲しいものは何でも手に入れ、何でも思い通りにしてきた。

そんな飛鳥が椎那の“好き”の一言で、こんなにも乱されている。



飛鳥は今までにない、狂愛と欲に埋もれていた。

「椎那…椎那…好き…大好きだよ……
もう……椎那しかいらない……!
一生……僕の中に呑み込んで、放さないからね!」
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