光の向こうへ
クラスを確認し終わって、校舎に向かう。
去年、改装され綺麗になった校舎が太陽の光を受け輝いている。僕らを迎え入れるように。

掲示板では、まだまだたくさんの人がいて、見ているだけで酔いそうだ。

多くの人がいても、校門の桜の存在感は劣ることなくむしろ美しく咲き誇っている。
漫画や、小説だったらそこに誰かが立っていて、その姿にドキッとして、その後2人は恋に落ちる。
なんて展開があるがそんなことはなく、そこには誰もおらず、風で散った花びらが落ちているだけだった。

誰かがいたら何か新しい日常が始まるかもしれないという淡い期待は数秒で打ち砕かれた。

「なおちゃん何してるのー？」

前に進んでいたはるかが僕がついてきてないことに気づいて声をかける。
答えもせず日常に向かって歩き出した。

春休みの間も部活で学校にきていたのに、昇降口のミザラがなんだか懐つかしく思える。
校舎の外見は綺麗になったのに、その中は驚くほど変わっていない。
ただ、靴を入れるだけしか機能していない下駄箱に靴を入れる。木製でできた下駄箱の古びた感じが僕は好きだ。

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