神、恋に落ちる
「あ、あの…家は……」
「大丈夫だよ!襲ったりしないから!
だって、嫌われたくないし!」

「……あ、いや…その……」
「フフ…可愛い~顔赤くして!信じて?ほんとに襲わないから!でも、白羽が受け入れてくれるなら抱きたいけど…あ!でも、キスはいい?」
「あ、あの…/////」
「やっぱ、嫌?家に入るの」
「ご、ごめんなさい…こ、怖くて……」

思わず俯く白羽。

「怖い?」
「はい、前に信じてた人に家に誘われて、襲われたことあって……た、沢山の男の人がいて…」
「強姦されたってこと!?」
「あ…」
「誰!!?俺が、消してあげる!!」
「え?み、命さん!?」

「教えて!!すぐに、地獄に落としてあげる!」
白羽の肩を持ち、揺らしながら言葉をぶつけるように言った命。

「その人達、警察に捕まったから大丈夫ですよ」
「そう…でも、赦せないね……
俺の白羽を傷つけるなんて………」
命の雰囲気が、黒く染まり圧迫されていく。

「み、命さ……」
「あ…ごめんね!怖かったよね……!
大丈夫だよ?もう…そんな怖い思いさせないよ!
とりあえず今日は、どっか食事でもしに行こうか?」
「はい、それなら……」
「うん!何食べたい?白羽の好きな料理は何?」
「いや、命さんの行きたいとこに行きましょう!
私は何でも食べますよ!
食べること好きなので!」
「フフ…そんな小さな身体で?益々、可愛いなぁ!
そうだなぁ、何がいいかなぁ?」
命は微笑んで、宙を見上げ考える。

「あ!寿司は?」
「はい、好きです!」
「了解!行こ?待ってね、クロに車を回させるから」

黒崎が車を回し、後部座席を開けた。
「どうぞ」
「白羽、乗って?」
腰を抱いて、促す命。
そして黒崎が手を差し出してきた。

「どうぞ?」
反射的に黒崎の手を握ろうとすると、グッと命に引き寄せられた。
「白羽!!ダメだよ!俺以外の男の手を握るなんて!」
「え?あ、ご、ごめんなさい!」
「いい?白羽は、俺以外の人間に触れちゃダメなんだよ?白羽が穢れる!」
「え?で、でも…」

「やめてよ……俺以外の人間に触れるなんて、白羽は俺だけのモノなのに……お願い…やめて?」
命の切なく揺れる瞳に、白羽は何も言えなくなる。


一徹に匹敵……いや、一徹よりも異常に重く深い命の愛情。
命の暴走は、まだ始まったばかりだ。
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