神、恋に落ちる
「「え……?」」

白羽と由那は、お互い命と一徹に抱き締められた。

「もう!遅いよ!何やってたの!!?
心配するでしょ!?」
「由那!!お前、お仕置きされてぇの!?」

「え?あ、ごめんなさい!ポスターが目に入っちゃて!つい……」
「いいでしょ?少しくらい!白羽と一緒に話してただけなんだから!」

「ポスターって、何?」
白羽の頬を両手で包み込んで、顔を覗き込んで言う命。
「あ、この料亭の提携のレストランのステーキ……食べたいねって、由那と話してたんです」
「へぇー」

「「随分仲良くなったみたいだね(だな)」」
命と一徹の声が、綺麗に重なりハモった。

「「え………
━━━━━━━!!!!!」」
白羽と由那は、二人の圧迫されていく黒い雰囲気にビクッと身体を震わせた。

「白羽、天使ちゃんだけなら、仲良くなること許してあげる。でも、あんまり調子に乗らないで?
俺、いくら相手が天使ちゃんでも嫉妬でおかしくなるよ?いいの?」
「由那もだ!白羽相手なら、許す!が!俺の傍での話だ!!」

「「ご、ごめんね(なさい)……」」
命と一徹の言葉にならない恐ろしい雰囲気に、白羽と由那は何も言えなくなり謝るしかない。

そう………謝るしかないのだ。
下手な口答えは、更に嫉妬心や支配欲を煽るだけなのだから。
きっと口答えなんかすれば、身体と心を貪り尽くされ“自我”がなくなるだろう。

【ほんと、命さん(一徹)には敵わない。逆らえない。
自我を壊されるくらいなら、従うしかない】
と、白羽と由那は自分自身に言い聞かせていた。

「ステーキ、今度連れていってあげるよ?」
「だが、行くなら二人か、四人だ!」

「わかった?」
「はい」
「由那は?」
「うん」

「じゃあ…帰ろうか?」
「だな」
「はい(うん)」

「一徹」
「ん?」
「白羽と、連絡先交換していい?」
「………命!どうだ?」
由那の頬を数回撫でて、命に向き直る一徹。

「そうだね……」
「命さん、私も由那とたまにでいいので話がしたいです」
「お互い、俺や一徹のいるところで通話するならいいよ」
「だな」

「わかった。白羽、交換しよ?」
「うん」
二人は、スマホを操作した。

そしてお互い手を振り、それぞれ車に乗り込んだ。
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