神、恋に落ちる
「神、お疲れ様でございます!!」
命より年上ばかりなのに、命は堂々としていて更に貫禄まである。
その為か、白羽は比較的落ち着いていられた。

「神、今組長が来られますので……」
「ん。早くしてね!白羽が怖がるから」
ソファに並んで座り、腰を抱かれている白羽。

「命さん」
「ん?怖い?」
「少し…」
「そうだよね…ごめんね、ほんとはいつもみたいに後ろから抱き締めたいんだけど、話ができないから……」
「あの…////」
「ん?」
「組長さん来るまででいいので、ギュってしてもらっていいですか?」
「フフ…わかったぁ!おいで?」
両手を広げた命に抱きつく白羽。
命の胸に顔を埋めた。

「皆さんは、命さんのこと“神”って呼んでいるんですね」
「うん、名前が呼べるのは、白羽と一徹と天使ちゃんだけだよ!」
「そうなんですか?」
「そうだよ。呼ばせないよ、雑魚には……
俺は名前に誇りを持ってるから!」
見上げて言う白羽の顔に、顔を擦り寄せ言う命。

「ざ、雑魚…ですか……?」
「そう…みーんな、雑魚だよ。いくら偉い立場で威張ってても、結局…俺には勝てない」

「確かに、命さんには敵いません……」

「あ、白羽は“特別”だよ?
白羽には、俺…参ってばっかだもん!
…………あぁ、どうしよう…キスしたい…」
白羽の頬を撫でてうっとりして言い、今度は口唇をなぞった。
「だ、ダメですよ!」
白羽は慌てて、自分の口元を両手で押さえた。

「でも…白羽を見つめてると、欲しくなる……口唇も、身体も……
すぐに…白羽不足になる………」
命は白羽の手を優しく外して、口唇を寄せてきた。
「命さ…だめ…」
「いつもみたいに…苦しいのはしないから…お願い……」
命がハムッと、口唇を食べるように重ねた。

「ンン……はぁ…」
「フフ…可愛い……」
口元で囁いた。

「神!遅くなって申し訳ありま…せん……」
部下を連れて金城が入ってきた。
二人の甘い雰囲気に、少し躊躇する。
命のこんな甘い顔、見たことがないからだ。

「あ、命さん!来られましたよ!だからもう…」
「うん…もう一回したいな……」
「だめ…命…さ…」
「可愛いなぁ…俺の天使…」

「━━━━━で?集めてくれてるんだよね?男達」
先程までの甘い雰囲気とは違い、キリッとした顔の命。
白羽はただ、命に見惚れていた。

「はい。別室にいますが、どうされますか?」

「………どうされる?そんなの……一つしかないでしょ?」
今度は、黒く恐ろしい雰囲気に変わった。
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