神、恋に落ちる
白羽「あ、命さん…」

命「白羽!?大丈夫!!?」
そう言って、白羽の切れた指先をパクッと咥えた。

白羽「あ……命…さ…」
命「大丈夫?痛かったね……
直矢に怪我させられたの?」

白羽の頬を撫でながら、優しく聞いてきた命。

白羽「え?あ、違います!
私がグラスを落としちゃって、破片を拾おうとして切ったんです」
命「ほんとに?直矢を庇うなんてバカなこと考えてないよね?」
白羽「ほんとです!」
命「………わかった。白羽を信じるよ。
でもね……」
白羽「え━━━━━命さん!!?」

ザッ━━━━━━━!!!!

命「お前、わかってる?
誰の、婚約者に、手を出そうとしたのか……!」
風を切る音がして直矢の胸ぐらを掴み、顔を覗き込んで言った命。

直矢「す、すみません!」
命「……………お前……白羽のこと好きだろ?」
そして口唇を耳元に寄せ、耳打ちした。

直矢「なっ…!!?」
命「バレバレ……(笑)」
直矢「神こそ、何故、白羽ちゃんなんですか?」
命「は?」
直矢「神なら、他にも相応しい女が━━━━━━━」

命「は?」
直矢「か、神……」
命が直矢を睨みつけ、殺気に包まれていく。

命「何故、お前に、俺の相応しい女を決められなきゃならない?」

直矢「あ、いや……んんーー!!」
命「俺に相応しい女は“白羽”のみだ!
いいか?二度と、そんなことを言うなよ……!」
直矢の口元に塞ぎ、恐ろしい雰囲気で言ったのだった。

命「白羽」
白羽「あ、は、はい!」
今までずっと固まっていた白羽。
突然名前を呼ばれ、肩に力が入る。

命「おいで?」
両手を広げる命。

ゆっくり命に近づくと、引き寄せられ抱き締められた。
命「白羽、いつもの言って?」
頬を包み込み、顔を覗き込んだ。

白羽「え?で、でも……」
命「ほら!早く!!」
白羽「直矢くん、いるし……」
命「だからだよ?
言って!!早く!!」

白羽「命さん……す…///」
命「ん?早く!!」
白羽「す、好き…////」

命「フフ…可愛い……いい子だね!
俺も、大好きだよ!」

直矢「………」

直矢は複雑な気分で、二人を見ていた。
< 45 / 100 >

この作品をシェア

pagetop