神、恋に落ちる
『白羽?』
「命さん!ごめんなさい、忙しいのに…」
『ううん!白羽の声聞けるから、嬉しい!
はぁ…声聞いたら、会いたくなるね…!
会いたい!会って、ギュッてして、キスして、抱きたい!今日は一晩中愛し合おうね!』

「あ、あの!」
『ん?』
「安居さんに聞いてませんか?」
『あー買い物?』
「はい」
『いいって言うと思ってる?』
「うー」
『ダメだよ!』
「すぐそこですよ」
『でもダメ!』
「………」
『白羽?』
「だったら、下のコンビニならいいですか?」
『ダメ!マンションから出る時は、俺と一緒じゃなきゃダメ!』
「………わかりました」
白羽は肩を落とし、スマホをタップし通話を切った。

「白羽?」
「ダメって……」
「そう…」
二人共肩を落としたのだった。

そんな二人を切なく見つめる、黒崎。
「俺がお連れします!」

「「え……?」」
「黒崎さん?」
「俺が買ってきてもいいんですが、色々種類があるから実際行って見たいんですよね?
だから、俺が連れていきます。
俺が一人で買いに行ったことにしましょう!」

「「ありがとうございます!」」

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「なんかこうゆうの楽しい!」
「そうね!」
後部座席の二人をバックミラーで見ながら、微笑む黒崎。

「黒崎さん!本当にありがとうございます!」
白羽が満面の笑みで運転席の黒崎に言う。
「いえ…」
「………」
由那は、そんな二人を見つめていた。

色々な種類のセットされたロールケーキを購入し、マンションに帰ってきた、三人。
黒崎が紅茶を淹れ、食べ始めた。

「由那、どれにする?」
「白羽が先に決めて!」
「ダメ!由那が先!私はどれでも食べれるから!」
「フフ…じゃあ、この苺いい?」
「うん!もちろん!
黒崎さんは、どれにしますか?」
「え!?俺ですか?」
「はい。お礼です。命さんの前では、こんなことできないから」
「いや…俺は……」
「甘い物嫌いですか?」
「いえ…」
「じゃあ、いいじゃないですか!?」

白羽の押しに負けて、ロールケーキを選んだ黒崎だった。
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