神、恋に落ちる

｢命と白羽を見てると、なんだか自分達を見てるみたいな気がするんだ｣
｢一徹…｣
｢だから、わかる！
由那は俺に依存してるとこがあるから｣

｢そうなんだぁ～！なーんだ！じゃあいいや！｣
そこでやっと、機嫌が落ち着いた命だった。

それから白羽が目を覚まし、お茶をしながら由那の買ってきたプリンと安居が買ってきたお菓子を食べている。
｢んーー！美味しい～！｣
｢ふわふわね！｣
｢うん！ありがとう！由那！｣
｢いいえ～！｣

｢白羽、俺のもあげる！｣
命がそう言って、白羽の口元にスプーンを持っていく。
｢はい！あーん！｣
｢……/////あ…いや…ここでは、ちょっと…////｣
顔を赤くして、俯く白羽。

｢いいでしょ？はい、あーん！｣
｢……////あーん…///｣
｢美味しい？｣
｢はい…美味しいです…////｣
｢可愛い…可愛いなぁ！｣

｢完璧、白羽“しか”見えてねぇな…！｣
｢フフ…そうね！｣

そしてその日の夜、一徹のクラブや他のクラブ等命の管轄する街一帯のイベントが行われていた。
一徹と由那は、クラブのホスト達といる為別行動だ。
お互い、仕事が終わったら合流して食事をするつもりだ。

｢人、多いですね…｣
｢うん、そうだね…！はぐれないようにね！｣
命は白羽の腰を抱いている手を一層強めた。

色んなクラブや、ショップの人間がいて人で溢れている。
それでも、やはり“神石 命”
かなり目立つのだ。

｢あ、神！｣
｢神！相変わらず、カッコいい～｣
｢奥様、いいなぁー！神に腰なんて抱かれて…！｣

命が白羽“しか”見ていなくても、白羽は不安で堪らない。
命は自分のような地味な人間が、つり合う人ではないのだ。
劣等感でいっぱいの白羽の耳に、沢山の声が入ってくる。

｢てか！ほんと、似合わないよねー｣
｢神の横に立ってて、恥ずかしくないのかな？｣
｢私だったら、畏れ多くて傍にいられないのに……｣

そしてガラス張りのショップのガラスに命と白羽が映る。
やはり………全く、つり合っていない。

白羽はそんな姿を見たくなくて、命にすり寄るように抱きついた。

｢ん？白羽？どうしたの？｣