君の声色
「ねぇ、君!!」
ゆっくりと振り返る彼女は目を大きく見開いていた。
あぁ…やっぱりこの女の子だ。
この学校の生徒だ。
「やっぱり今朝の子だ!」
俺は満面の笑みを彼女に向けた。
やっと…会えた。
「よかった〜、見つかって!」
まずは何から言おう…。
あれ?
胸元のリボンの色…。
「赤いリボンってことは君も2年生?」
うちの学校はリボンやネクタイの色によって学年の判別ができる。
1年が青、俺たち2年が赤で3年が緑だ。
「…?」
質問しても不思議そうな…困惑したような表情をしている彼女に俺はそのまま続けた。
「ねぇ、2年何組?名前はなんて言うの?そうだ!連絡先教えてよ!」
俺はものすごい早口で喋った。
いつも女の子は喜んで教えてくれる。
だから彼女もそうだと思っていた。
でも…。
「…っ」
ずっと無言のままだった。
俺は我慢できず…。
「ねえってば!!」
少し強く言ってしまった。
彼女はビクッと肩を震わせた。
しまったと思ってしまったが彼女は…。
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