君の声色
弟の悟は6歳で来月誕生日で7歳になる。
「結兄、あのね!!あのね!!」
悟は俺から少し離れ、嬉しそうにしている。
俺は急いで話そうとしている悟に笑って…。
「ゆっくりでいいよ」
そう言った。
でも悟は首を傾げた。
「えっと…」
俺は親指と人差し指を伸ばして指先を向かい合わせ、同時に右に動かした。
これなら伝わるだろ?
「うん!今日ね、お昼プリンがでたの!」
悟は先程よりは少しゆっくりだがまだ早いな…。
でも嬉しそうに話すからいいか。
「そうか」
そして俺は悟の頭をゆっくり撫でた。
「えへへ!!」
俺の弟の悟は耳が少し聴こえづらい。
だいたいは聴こえるがたまに聴き取りづらい時がある。
だからさっきみたいに聴き取れなかったら"手話"を使って伝える。
まだまだ勉強中だけどな。
彼女も…耳が聴こえなかったとは…。
『こ…れ…っ!』
あの時のお礼…ちゃんとしないと。
「早く会いたいな」
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