君の声色
私は無言で頷いた。
「実は俺の弟もそうなんです」
私はその言葉に目を見開いた。
日向の…弟さんも…?
「だから陽菜さんが弟と同じで耳が聴こえづらいと知って驚いたんです。陽菜さん!」
日向は私の目を真っ直ぐに見つめた。
とても…真剣な顔で。
「俺と友達になってください!!」
…友、達。
私は「友達」という言葉に肩がビクッと震えた。
『聞こえないならもういいよ』
『またそれ?』
『構ってちゃんアピール?』
「友達」でいいことなんてあの日から何一つなかった。
ただ…苦しくて…悲しかった。
だから私は彼のその言葉に首を左右に振る。
だって…「友達」を作るのが怖いから…。
もう…傷つくのは嫌なの…。
断ったら諦めると…そう思っていた。
皆そうだった。
話しかけてきて「友達になろう」と言ってきた子には無言を貫き、皆…去っていった。
だから今回も…そうなると思っていた。
でも彼は…。
次の日。
「友達になってください!!」
「…」
そして次の日も。
「友達になって!!」
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