君の声色
だから黒板に書かれているものは全てノートに書き写していくしかない。
それでもわからないところがある時は先生に筆談で聞きに行っている。
遅れをとらないため家でも勉強に励んでいる。
「……」
家のドアを静かに開けて入る。
長年声を出していないから急に喋ると声がでない。
いつも何も言わずに出入りしている。
たまにお母さんからメールが来てメールで会話をするくらいだ。
だから今日も何も言わずに中に入り自室へと真っ直ぐ向かう。
机に鞄を置いてノートを取り出した。
そのノートには『筆談用』と書かれている。
私はそのノートをパラパラ…とめくり始める。
そして少ししてからノートをそっと閉じる。
筆談用のノートがなくなりかけていた。
新しいノート買って置かないと…。
これは帰ってきて毎日ちゃんと確認している。
日課となっている。
そう言えば前にお母さんがノート買ったってメールで言ってたな。
どこに閉まったんだっけ?
私は辺りをキョロキョロと見回す。
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