君に逢える日
 彼女の瞳は、多分彼女が思っている以上に彼女の心の言葉を伝えてくる。だから、僕は彼女の瞳が見れなかった。

 あと、僕はもう何も言わないほうがいいと思い、彼女の言葉を待つことにした。

 怖くて彼女の顔を見れなかったけど、彼女が何も言わないから、余計に見れなかった。

 望みが薄いことはわかっている。それでも、願わずにはいられなかった。

 いい答えが欲しい。

「……ごめん、なさい」

 強く目を瞑っていたら、小さな声で、それが返された。

 何か言わなければと思い、目を開くと、目の前にいたはずの彼女の姿はなかった。

 周りを見渡しても、彼女を見つけられない。ほんの一瞬で消えてしまったのだ。

 待って、違う。僕は怪しくなんてない。ただ、君と話してみたかっただけなんだ。

 言い訳ばっかり頭に浮かぶ。本当、かっこ悪い。

 もっとはっきり、本音を言ってしまえばよかったんだ。そうしたら、彼女に怪しまれることはなかっただろうし、ここまで後悔することもなかっただろう。

 結局、彼女は見つけられなかった。

 反省と後悔で、僕のハロウィンは終わっていった。

 いつも待ち遠しく思っていたハロウィンが、自分のせいで嫌いになりそうだった。
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