クラスの男子が全員、元カレだった件
14、元カレと興あるロマンスを紡ぐ件
喫茶店「レインリリー」は私のお気に入りの場所だ。
店内はレトロな雰囲気で、とても居心地がいい。
特に加持さんという関西弁を喋る金髪のお兄さんが淹れてくれる紅茶は絶品だ。一度飲むと、私の嫌な部分全部、浄化されるような気持ちになって、どんなにつらいことがあっても、忘れられる。
「お、和泉ちゃん。久しぶりやね」
と店に入るなり、咥えタバコでカウンターを背もたれに、腕組みをしていた加持さんが軽く手を挙げた。
「お久しぶりです。いつもので」
「はいよ。しばし待たれよ」
と言って、加持さんは慣れた手つきで紅茶を淹れる。加持さんは瀬花のOBだそうで、瀬花高の生徒が来ると、飲み物を一杯だけタダでくれる。
まあ、私以外にそんなに瀬花高生はいないらしい。
「ほい、お待ちどおさん」
紅茶のいい香り。一口飲む。そうすると、急に溢れ出た涙。止めようとしているのに、止まらない。
ずっと我慢していたのだ。
私は失恋をした。三島志麻に恋をしていたのも気づかなかったけれど、彼女がいると知った瞬間、何かが弾けて、溢れそうだったけど、必死に、違うことを考えて、でも、やっぱりここの紅茶はそれを思い出させる味で、私は声をしゃくり上げて泣いた。
加持さんは何も言わずに店の奥に入って行った。