クラスの男子が全員、元カレだった件




しょうがなく、私は廊下を歩いて食堂へ向かう。


その足取りは重い。まるで足に鉄球をつけられた囚人のようだ。


引きずって、歩く。一歩。また引きずって、歩く。一歩。


そして着実に近づいていく。高橋隆人の元へ。


「ちっ!」


私の姿を見るなり、高橋隆人は露骨に、態度を悪くした。


その態度に私も怒りの感情が出てくる。ムカつくのだ。上手く言えないけど、ムカつく。


でも、春乃ちゃんのためだから。そう自分に言い聞かせて、バイキングを取り、高橋隆人の横に座った。


「……」


「……」


お互い黙々とパクパクと食べていく。減っていく皿の上、増えていく頭の中の不安、現れるテーブルの下のイラ立ちの貧乏ゆすり。


「あ……」


と声が出る。入口にひょっこり顔を出した春乃ちゃんの姿が見てて、いよいよ焦る。


もうどうにでもなればいい。自分を自分で壊しちゃえばいい。壊れた後のことは、後から考えよう。



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