クラスの男子が全員、元カレだった件




「これはいいですね……」と春乃ちゃんはあごに手を当てて言った。


「和泉ちゃんも私たちの映画に役者として出てくれませんか?」


「絶対ダメ」


「……断るの早すぎですよ、和泉ちゃん」


ダメ! そんなの絶対ダメに決まってる! だって私は演技なんかできないし、そもそも自分で書いた脚本を自分で演じるなんて、恥ずかしさの2乗だ。


「なんだ。小泉が書いた脚本なのか?」


「そうなんです! よかったら、これ読んで決めてくれませんか?」


と言って、春乃ちゃんはウサギの耳が付いたクリアファイルから、脚本を取り出して、高橋隆人に渡した。


「はい、和泉ちゃんにも」


私も一応目を通す。所々軽く修正が入っているけど、間違いない。私が書いた脚本だ。


「へえ、面白そうじゃん」と高橋隆人が言った。


「小泉が書いたやつなら、俺、やるよ」


意外にもノリノリで。




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