クラスの男子が全員、元カレだった件
「ホントですか! ありがとうございます!」と春乃ちゃんもノリノリで、
「これは和泉ちゃん、やるしかないですね」
「そうだぜ、小泉。自分の書いた言葉には責任持たねえとな」
二人してニヤニヤしちゃって。おまけに高橋隆人に関しては、珍しくもっともらしいことを言って。
「……わかりました。やります。やればいいんでしょ?」
そう答えて、私は少しホッとしていた。
私はてっきり春乃ちゃんに高橋隆人をとられると思っていた。
でも、春乃ちゃんは「好感持てそう」とはいったものの、一言も「高橋隆人が好き」とは言ってなかった。
それに、高橋隆人は、誰のものでもない高橋隆人で。
ダメって思った。行っちゃ嫌だって思った。でも、それを止める権利は私にはなくて。
ああ、だから私はあの時怒っちゃったんだ。
でもよかった。高橋隆人はどこにも行かない。
まだ私は高橋隆人と一緒に過ごせるんだ。バカを陰で笑ったり、ドッヂボールしたりできるんだ。
「あれえ? 和泉ちゃん、なんか嬉しそうですね?」
「そんなことないよ。そんなこと」
嬉しくない。わけなんか、ないんだ。