私は幼馴染の双子の兄の方が好きなんです
中庭。学内で緑と言えばこの場所。

一見、鬱蒼としているが、芝生は定期的にメンテナンスされ奇麗に生え揃っている。

やはり涼しく心地よい時期は、自然を感じながら日々の疲れを癒しに来たくなる。

みんな考えることが同じなのか、人であふれかえっていた。




「この辺にしよっか」

私はみーくんらに同意を求める。



「そうだな、この辺なら直射日光当たらないしここにするか」



私たちは、三人腰を下ろせる場所を探していたのだ。

OKをもらったので、私は持ってきたレジャーシートを芝生の上に広げる。




猫のイラストがプリントアウトされたレジャーシート。

風で飛ばされないように、みーくんが四隅に石を置いてくれた。

まーくんはレジャーシートのイラストが気になるのか、じーっと見つめている。



「ねここちゃんって、猫が好きなの?」


まーくんは予想通りの質問をしてきた。


「そうなんだよ! わかる?」



実は、まーくんが今聞いたことは、私がとても言ってほしかった質問だったのだ。

猫が好き ということが言いたかった。

ほんと、それだけなんだけど。

それだけのために、あえて猫さんのレジャーシートを持ってきたのだ。

まーくんならきっと、その話題にしてくれると思ってたんだよ。

まーくん、さいこー!!



「実はね実はね、私ね......」

「はぁ......」


私の策略を見抜いてか、みーくんが肩をすくめる。

まだ何も言ってないんだから、呆れたそぶりをしないでよ。




「これ、小学生が使うやつだろ」

「そんなことないもん」

「じゃあお前、これに大人の俺が入れってか?」

「うん」

「やめてくれ、そんなファンシーなレジャーシート」



猫のイラストがプリントされてたら、小学生が使うやつ。

そう決めつけないでほしいなぁ。

クマのぬいぐるみと寝ていたみーくんに言われたくない。



「あのさ、葵」

「ん?」

「俺たちが男ってこと忘れてね?」



まあ、確かに、男の子からしたら嫌なのかな。

私、男の子ってみーくんとまーくんしか深くは知らないから、一般的な男の子っていうのがわからないんだよね。

言葉として、男の子はカッコいい物が好きというのは知ってるけどさ、可愛いものが嫌いだなんて知らなかったよ。

あれ、でも、男の子が可愛いものが嫌いなら、女の子が化粧する理由って何......?



いろいろと哲学してると、まーくんが歓喜の声を上げてレジャーシートに頬ずりしだした。


「んんん、ねこちゃーーーん。このぶち模様可愛いねぇーー。可愛いねこちゃーーーん」


ちょっと、ドン引き。

まあ、まーくんってこういう子だけど。




そんなまーくんの姿をみたみーくんが考えるそぶりをしていた。

そして、まーくんの頭を小突く。

「あいた。何するんだよ、兄貴」

「お前が葵の男性基準を狂わしてんだよ」






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