私は幼馴染の双子の兄の方が好きなんです
みーくん。本名は岸野磨手(きしのみがて)

幼馴染の双子の兄だ。私にとってもお兄さんみたいな人だ。




あれから、一悶着あった(私が一方的に暴れた)が、私はすぐ部屋から摘まみだされ、数分で兄弟は制服に袖を通してリビングに降りてきた。

「ねここちゃーん、おまたー」




洗顔を終えたまーくんが机の上の料理をみて驚いた顔をする。

「これ、ねここちゃんが作ったの?」

「そうだよ」

「めっちゃ美味しそうだよ、これ」

「ありがとう」

褒められてちょっと照れてしまう。




お母さんに最低限、家事ができるようにと幼い頃から料理をさせられていた結果、材料と機材があれば大体作ることができるようになった。

料理ができることだけは勉強、スポーツと取り柄のない私の、唯一自慢できることなのだ。




みーくんもまーくんに続いて洗顔を終えて席に着く。

まーくんとは違い、私の作った料理には一言もない。

だよねー。

昔っから、みーくんはこうだもの。




「いただきまーす。んー、おいしいね、この焼鮭」

まーくんは目にもとまらぬ速さで料理を搔き込む。

「そんな、急いで食べると喉詰まっちゃうよ」

「うんうん、でも美味しいから、箸がとまらないんだよ」

そんな風に言われると、うれしい。




一方で、黙々と咀嚼し続けるみーくん。

ここで、「うまい」って言ってくれたらいいんだけど。

一応食べてもらえてる。食べられる合格ラインにあるってことかな。




「あのさ、葵」

ついに、みーくんが口を開いた。

「なんでお前がここにいるわけ?」

誉め言葉ではなくて、私は肩を落とした。

< 6 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop