私は幼馴染の双子の兄の方が好きなんです
みーくんが私を「葵」と呼び出したのは、中学校に入学してすぐだった。




私の名前は、(あおい)ねここ。葵家の一人っ子だ。

ねここという下の名前には、漢字がない。

由来もリズム感がいいからという、ただそれだけの理由で名付けられた。



物心がついた頃から、葵家と岸野家はお隣さんで仲が良かった。

なんでも、お父さん同士が幼馴染だとかで、小学生の頃はよく葵と岸野の悪ガキコンビでご近所にいたずらをしまくったそうだ。



そんな悪ガキも大人になり、同じ時期にお嫁さんを貰った。

そして、葵家は私を授かり、岸野家は双子のみーくんとまーくんを授かったのだ。



初めての子育て、苦労したらしい。

幸い、同じ苦労をしている者同士が身近にいたので、自然と両家はお互いに助け合うことになった。

だから、私とみーくんとまーくんは、年齢の分だけ一緒に育ってきた、長い長い付き合いなのだ。

一緒にいた年数だけみると、その辺の夫婦よりも長いかもしれない。




だから、私にとって、みーくんとまーくんは家族のような存在なのだ......。




嘘。

私が、そう思っていたのは中学生まで。



いや、違う。

小学生のあの瞬間から、私の心は変わりつつあった。




だから、中学校に入学してすぐ、みーくんに「葵」と呼ばれたあの日



―――――私は泣いた。


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