【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「少し疲れたかい?」

「いえ、大丈夫です」
 会長の視線が痛いだけです。

「イブ」
 来た。イブライムを狙っているフランシス。

「約束通り、アイリーンさんを借りるね」
 フランシスはそっとアイリーンの肩を抱く。

「なっ。会長。オレはいいとは言っていない」

「でも、君。アイリーンさんとは婚約者でもなんでもない、ただのクラスメートだよね」
 フランシスは勝ち誇った笑みを浮かべた。フランシスに肩を抱かれたアイリーンはもう一度輪の中へと連れていかれた。

「なんか、楽しそうなことになっているね」
 とイブライムに声をかけてきたのはルーク。
「せっかく僕が譲ってあげたのに」
 そんな彼をイブライムは冷たい視線で見つめた。
「意外とお似合いの二人だよね。フランとリーンさんって。それに今日のリーンさんはとても魅力的だよね。いつもの可愛らしい感じとは違う感じがするし」
 冷たい視線にもめげずに、ルークはその言葉を発する。彼のそれを耳にして、イブライムは人の輪の中に視線を移した。

 人に埋もれながらも、楽しそうに踊っているフランシスとアイリーンの姿が目に入った。彼女は、はにかんだ笑みを浮かべてフランシスを見ていた。もう、その瞳に自分の姿は移っていないのだろう、とイブライムは思った。
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