【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 ここは素直に甘えることにした。多分、フランシスの言っていることは、あながち間違いではない。慣れない国と生活。そして、生徒会や部活での活動。自分では気付かないうちに疲れが蓄積されていたのだろう。気付くことができなかったのは、新しいことに触れるのが楽しかったから。新しい友達、新しい知識、新しい本。
 フランシスが部屋を出て行ったのを確認してから、ソファのひじ掛けに首を預け、右手の甲を額に当てた。

「会長、リーンは? 先ほどまで一緒にいましたよね」
 一人になったフランシスを目ざとく見つけてきたのはノエル。
「奥の部屋で休んでいる。これは君が持って行った方がいいな」
 手にしていた飲み物をノエルに渡す。
「アイリーンさんを頼んだよ」
 フランシスは背中を向けて手を振る。ノエルは手渡された飲み物を見ると、アイリーンの元へと向かった。

 フランシスが言っていた奥の部屋に行くと、アイリーンがひじ掛けに頭を乗せてソファに身体を預けていた。そしてもう一人、誰かいる。
 だがアイリーンがその人物に気付いているのだろうか。ピクリとも動かない。眠っているのか。
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