【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 さて、こちらは生徒会室。新入生の部活動見学が始まってから、アイリーンとノエルは一切顔を出していない。それにいささか不満を覚えている人もいる。

「今日も、エルとアイリーンさんは来ていないんですね」
 ジョアキナは不満そうな顔を浮かべていたイブライムにわざと声をかけた。その不満顔が余計に歪む。さらに歪ませるためか、イブライムは左手で頬杖をついた

「文芸部だろ」
 イブライムが答える。

「部活動見学で忙しいんでしょうね」

「あの部が忙しそうに見えるか? ただ、本を読んでいるだけだろ」

「あれ、今日は君たちだけ?」
 その声が入ってきたときに、イブライムの不満顔は不機嫌顔になった。

「イブ。今日は一段と不機嫌だね」
 今日も輝く笑顔を顔中に浮かべているフランシス。

「会長が仕事を溜めたからでしょ。はい、どうぞ」
 書類の束を手渡す。

「どうせ、すぐに君が会長になるんだから、やっておいてくれよ。副会長」
 書類の束が戻ってきた。

「アイリーンさんは、部活動の方かな」
 とフランシスが留学生の名前を口にすると、イブライムの顔が歪む。面白いな、と彼は思った。ジョアキナがやめてください、と目で訴えている。だが、素直にやめるようなフランシスでもない。こんなに面白いことを放っておけるか、と思う。
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