【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「結局、ここに戻ってくるんでしょ」
 甘美小説コーナーの前で、ノエルが笑いながら言う。それは否定できない。今のところ、問題集や専門書や絵本やその他の本に興味は無い。

「甘美の棚はね。まずは同性と異性にざっくり分かれているからね。それから同性は男か女に分かれているの。そして、作者順に並んでいるから、リーンのお目当ての本はこの辺にある、はず」
 ノエルの言うこの辺は、甘美の同性の男の作者の頭文字が『ア』の棚。月雲シリーズはもちろん、平積みだった。その上の棚には、アディの作品が他にも何冊か並んでいる。

「それも買うの?」
 読んだはずの『美しき二人』まで手にしているアイリーンに、ノエルは声をかけた。
「ええ。とても素敵なお話だから、手元に置いておきたいの」
 その気持ち、よくわかる。他にもアイリーンは、短編集二冊と他のシリーズ全三巻を手にした。

「月雲シリーズは全部持っているのよね。そうしたら、アディ先生の作品はそれで全部のはずよ」

 つまり、今までの作品は全部で十一冊。十二冊目が月雲シリーズの六巻になるというわけか。それが発売されるまでに、これらの本を読み終えることができるだろうか。ただ、読むだけならできそうな気もする。
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