【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 クラスの入れ替えは、それぞれのクラスの下位五人と上位五人が同じ試験を受ける形で行われる。だから、上位十五位までに入ってしまえば安泰、というわけ。

「会長。オレには貸さないと言っておきながら、リーンには貸すんですね?」
 アイリーンの頭の上から声が降ってきた。見上げると、イブライムの顔がある。彼は彼女を見下ろしていた。目が合った。それからイブライムは彼女の隣の椅子をひいて、そこに座った。

「君にとってテストなんて簡単なものだろう。アイリーンさんは初めてのテストだからね。慣れない生活の中で、いろいろと頑張ってもらっているし、応援したくなるだろう?」
 テーブルの上に肘をついて組んだ両手の上に、顔を乗せているフランシス。そしてその彼を見ているイブライム。これは邪魔をしてはいけない奴だ、と思ってアイリーンはそっと椅子をひき、立ち上がった。

「あれ、アイリーンさん。帰るのかい?」

「あ、はい。二人の邪魔をしてはいけないので、文芸部の方に行きます」

「邪魔って。君には私たちがどんな風に見えているのかな?」

「えっと。会長と副会長」
 の禁断の関係。

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