【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「いきましょう、リーン」
 ノエルがそう言ってくれたから助かった。

「実は、テストが終わってからリーンに伝えたいことがあったの」
 文芸部の部室に向かう途中で、ノエルが口を開いた。
「あのね、月雲の作者のアディなんだけど」

「エル、アディ先生と呼んでください」

「うん。そのね、その、アディ先生なんだけど」
 そこでノエルは立ち止まり首を左右に振って、他に生徒がいないことを確認してから言葉を続けた。
「実は、私の叔父様なの」

 一瞬、アイリーンは息をするのを忘れた。瞬きもできなかった。

「嘘……」
 思わず呟いたその言葉は、多分、プーランジェ語だったと思う。ノエルが首を傾げたからだ。

「黙っていてごめんなさい。本当は言うつもりも無かったの。リーンがアディのことを大好きだから」

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