【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「そうかしら? でも、それがわかる日がきっとくるわよ」
 片目を閉じて首を傾けるユミエーラは、可愛らしい。きりっとした顔立ちでありながらも、可愛らしさも持つ彼女。
 アイリーンはお茶を一口飲んだ。冷めてしまったようだ。ユミエーラの話は面白かった。だが、それが自分にあてはまるかを考えると、わからない。

 それから他愛のない話をして、時間をやり過ごした。ユミエーラの表情はころころとよく変わって、アイリーンの目から見ても飽きない人だった。そして、王妃なだけあって知識も豊富。アイリーンが気になったことを口にすると、期待する答えの四倍で返ってきた。イブライムに尋ねると変な見返りを期待されるので、もし今後もユミエーラとこのような機会があるといいな、とも思っていた。

「ユミエーラ様」
 と侍女が声をかけてきた。何か小声で喋っている様子。
「ええ、わかったわ」
 侍女に声をかけた後、ユミエーラはアイリーンに向き直る。

「ごめんなさいね。次の約束があるので」
 その言葉に、アイリーンは状況を察した。
「いえ、こちらこそ。居心地がよくてつい長居をしてしまいました」

「まあ、嬉しい。ぜひ、またいらしてちょうだい」

「はい」

「リーン」
 と呼ばれたので振り向くと、イブライム。なんでここにいるの? と思ったけれど、場所が場所な故にいてもおかしくはない。

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